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インタビュー:持続可能な世界経済に向かって金融ハブが連携すべき理由

2月に東京・フランクフルトMoU調印式のため来日したFrankfult Main Financeのオリバー・ベーレンス会長に、包摂的な成長を支援し、金融の安定性を強化するために金融センターが協力することの戦略的重要性について聞きました。

緊張と不安定さに満ちた世界情勢の中で、東京とフランクフルトのMoU締結はなぜ重要なのでしょうか?

地政学的対立、経済の分断、そして高まるボラティリティに象徴される時代において、同じ志を持つ金融センター間の強力な国際的パートナーシップは、これまで以上に重要になっています。Frankfult Main Finance(FMF)とFinCity.Tokyo の間で締結されたMoUは、世界的な不確実性への対応策は孤立ではなく協力であるという明確なメッセージを発信します。

ドイツと日本の友好関係は、経済、政治、文化のあらゆる面で数十年にわたり続いています。この関係を特に強固なものにしているのは、常に相互の信頼、長期的な視点、そして責任感に基づいて築かれてきたことです。両国が強靭なサプライチェーン、金融の安定性、技術主権、そして変革に向けた資金調達といった共通の課題に直面していることから、両国の主要金融センターの協力が、この友好関係の戦略的な重要性をさらに高めます。

今日、両都市は転換期を迎えています。東京は国際的な資産運用拠点としての地位を急速に高めており、フランクフルトは欧州連合を代表する金融センターとしての地位を確固たるものにしています。これは、より深い協力関係を築くための強固な基盤となります。今回の覚書は、フランクフルトと東京の間で既に確立されている協力関係を正式なものとし、さらに加速させるものです。この覚書は、両都市間のパートナーシップをさらに深化させ、変化するグローバル環境において両金融センターを強化するための構造的な枠組みを提供するものです。

このような激動の時代だからこそ、頼りになるパートナーシップを持つことが重要です。そのためには、共同プロジェクトや成功の共有を通して、この不確実な時代における連帯を強化することが不可欠です。

ドイツと日本の金融関係者にとって、それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?

メリットは明白であり、双方向的に作用します。フランクフルトと東京の協力は象徴的なものではなく、戦略的なものです。

日本の金融機関にとって、フランクフルトは欧州連合への非常に魅力的な玄関口となっています。英国のブレグジット(欧州離脱)以降、フランクフルトの金融情勢は著しく変化しました。少なくとも2兆5000億ユーロの資産がロンドンからフランクフルトに移転し、フランクフルトでは銀行業務で9500人以上の雇用が新たに創出され、法律、コンサルティング、監査などの関連専門サービス分野でも3万~4万人の雇用が生まれました。60以上の国際銀行から、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)への新規または拡張ライセンスの申請もありました。日本の金融機関もブレグジット後、いち早くフランクフルトに移転しており、我が都市への強い信頼を示しています。

さらに、CRD VIなどの新たな規制の導入により、ドイツは、特に第三国支店のような簡素化された仕組みを通じて、市場参入のための明確で効率的かつ予測可能な枠組みを提供しています。フランクフルトの強固な規制環境、充実した資本市場、そしてEUを代表する金融センターとしての役割と相まって、これは大きな戦略的優位性を生み出します。前述の新たな規制に関連して、約1,000億ユーロ相当の追加資産が日本の金融機関からフランクフルトに移転される見込みです。

同時に、ドイツおよび欧州の金融関係者は、世界で最も洗練された資本豊富な市場の一つへのアクセスが容易になるという恩恵を受けます。日本は、テクノロジー、データガバナンス、機関投資家による長期投資などの分野で世界をリードしています。東京との関係強化は、資産運用、インフラ投資、イノベーション主導型金融サービスにおける協力の機会を広げることに繋がります。

最終的に、この覚書は双方の金融エコシステムをより良く連携させることに役立ち、投資の流れ、知識の交換、そして長期的なビジネスパートナーシップを促進します。

この覚書によって、短期的にはどのような協力活動が生まれると予想されますか?また、長期的な見通しはどうでしょうか?

近い将来、交流形式の強化が期待されます。これには、カンファレンスの共催、代表団の訪問、ラウンドテーブル、専門家間のダイアログなどが含まれます。これらはすべて、双方の金融機関、規制当局、政策立案者をつなぐことを目的としています。さらに、双方が資本市場の発展と金融セクターの協力関係を支援するため、ベストプラクティスの共有とコミュニケーションの強化に取り組んでいきます。

また、資本市場の発展、サステナブルファイナンス、規制枠組みといった重要なテーマについても協力を深めていきます。グリーンボンド、トランジションファイナンス、デジタルイノベーションといった分野は、特に早急な協力が期待できる有望な分野です。

さらに将来を見据えると、覚書に概説されている主要分野における協力関係の深化も目指します。これには、ソーシャルボンド、デジタル技術、オルタナティブ投資、インフラ投資など、社会貢献につながる金融サービスの促進が含まれます。また、このパートナーシップは、共同の金融促進活動や政策関連の意見交換を支援し、両金融センター間の持続的かつ体系的な協力関係を構築することが期待されます。フランクフルトと東京は、将来的には欧州とアジアを結ぶ金融回廊としての地位の確立を目指します。具体的な第一歩として、今秋バンコクで開催される世界銀行会議の期間中に、ハイレベル会合を開催する予定です。

気候変動や世界的な格差といった世界が直面している課題の解決に向けて、金融センターが出来ることはなんでしょうか?

金融センターは、資本、イノベーション、政策が集まる場所であるため、極めて重要な役割を果たします。フランクフルトや東京といった金融センター間の連携は、特に大規模な資金動員を通じて、進化を大きく加速させることができます。例えば、サステナブルファイナンスにおける共同の取り組みは、気候変動対策目標の達成に不可欠なグリーンボンド、トランジションファイナンス、インフラ投資の市場拡大に貢献します。同時に、こうした連携は金融システム自体の健全性と強靭性を強化することにもつながります。

EUマネーロンダリング対策機関(AMLA)をフランクフルトに設置するという決定は、同市が金融の健全性、監督、そしてコンプライアンスの革新の中心地としての役割を果たしていることを明確に示しています。AMLAは、違法な資金の流れを検出するために、ビッグデータと人工知能を多用することになります。こうした状況において、日本との協力は大きな可能性を秘めています。日本は、データガバナンス、産業水準のテクノロジー、そして卓越した業務遂行能力を有しています。テクノロジー&データラボや規制サンドボックスといった共同イニシアチブは、AIを活用したコンプライアンスおよびレグテックソリューションの開発を支援することができます。

最後に、このようなパートナーシップは強力なシグナル効果も持ち合わせています。主要な金融ハブが協力して包摂的な成長を支援し、金融の安定性を強化し、より持続可能な世界経済に貢献する意思があることを示すからです。

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