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インタビュー:東京・パリ間の金融協力に向けた強固な基盤を確認

フランス銀行のアルチュール・ソニオ・ぺス氏とクエンティン・デュフレーヌ氏が会長の中曽宏と会談し、2026年6月のフランス銀行のFinCity.Tokyo加入により加速する東京・パリ間の金融協力について意見を交わしました。

フランス銀行がFinCity.Tokyoの会員となりました。どのような意義がありますか?

中曽(会長)
この度、フランス銀行を特別会員としてお迎えできることを大変嬉しく思います。これは、当団体の会員拡大における名誉ある節目であるだけでなく、パリとの関係を深化させる時宜を得た戦略的な一歩でもあります。パリ・ユーロプラスは、2019年に締結した覚書に基づき、FinCity.Tokyoの大切なパートナーとなりましたが、コロナ禍で一時的に協力活動が中断されていました。フランス銀行を当団体のコミュニティにお迎えすることで、東京のエコシステムに新たな活力がもたらされ、相互の信頼と協力という強固な基盤の上に、さらなる発展を築いていけることを楽しみにしています。
中央銀行家としての私の経験に照らせば、中央銀行間のネットワークは、世界の金融システムの安定と物価の安定を維持する上で、極めて重要な役割を果たしています。各中央銀行は、その中核的な責務を遂行する過程で相互の連帯を深め、国際的な金融エコシステム全体における信頼関係を醸成しています。したがって、中央銀行家のネットワークや彼らが有する情報資産は、東京を金融センターとして発展させるためのFinCity.Tokyoのプロモーション活動そして戦略活動において、計り知れない価値を持つものだと思います。

ソニオ・ぺス氏
フランス銀行がFinCity.Tokyoに特別会員として加入したのは、信頼できる金融センター同士の組織的協力が戦略的に不可欠となっているためです。私たちは、金融の安定性、安全かつ効率的な決済、責任あるイノベーション、持続可能な金融、そして実体経済を支えるための資本動員といった点で共通の目標を持っています。FinCity.Tokyoが掲げるインベストメントチェーンの強化と、経済的・社会的課題解決のための金融活用という目標は、フランス銀行の使命とも相互補完的なものです。
私たちは今回の加入を単なる象徴的な節目に留まらないものと捉えています。これは、フランス、欧州、そして日本の金融業界間の対話と協力を強化したいという共通目標の表れであり、日本との長年にわたる関係に基づくものです。フランス銀行は数十年にわたり日本銀行および日本の当局と緊密な関係を維持しており、1998年には在東京フランス大使館に常駐代表部が開設されました。

東京とパリが金融センターとして最も効果的に協力できる分野はどこでしょうか?

中曽(会長)
世界の地政学的、経済的、金融的な状況は、深刻な構造変化を遂げつつあります。そのため、共通の価値観を持つ二つの主要経済国である日本とフランスの関係強化は、これまで以上に重要になっています。私たちは、サステナブルファイナンスおよびトランジションファイナンスへの資金投入、そしてAI、ロボット工学、航空宇宙、核融合エネルギー、量子コンピューターなど、日本の成長戦略で指定された17の戦略分野への資金投入において、協力していきたいと考えています。これらの分野こそ、今後数十年にわたり世界の競争力を牽引していくものだからです。
特にサステナブルファイナンスに関して、日本は排出削減が困難な分野でも現実的にネットゼロ目標に向けて移行できるよう、強固なトランジションフレームワークを先駆的に構築してきました。日本の国内民間セクターのトランジションファイナンス市場も成長を続け、その規模は2025年末時点で累計約2兆9,000億円(約181億米ドル*)に達しています。トランジションファイナンスにおける日本の運用経験は、欧州の資本市場が移行および脱炭素化のための手段を拡大していく上で、貴重な知見になると考えています。

ソニオ・ぺス氏
パリは、EU単一市場への直接アクセスが可能な、金融機関が密集したヨーロッパのエコシステムを提供しています。一方、東京は、豊富な貯蓄、大規模な長期投資家、グローバルに活動する金融グループ、そして強力な産業・技術基盤を持っています。
協力は、中曽会長が述べたサステナブルファイナンスとトランジションファイナンス、デジタル金融・トークン化・クロスボーダー決済、資産運用とグロースキャピタル、そしてインフラ金融という4つの分野に重点を置くべきだと思います。2019年にFinCity.Tokyoとパリ・ユーロプラスが締結した覚書は、既にこのための制度的な枠組みを示しています。

パリのエコシステムにおける最新の動向のうち、東京が注目すべきもの、またその逆の動向にはどのようなものがあるでしょうか?

ソニオ・ぺス氏
注目すべき3つの動向があります。
まず、欧州連合の貯蓄・投資同盟は、戦略策定から実施段階へと移行しつつあります。その目的は、欧州の貯蓄を生産的な投資、イノベーション、そして戦略的優先事項へとより多く振り向けることにあります。欧州の資本市場、プライベートアセット、インフラ分野において、日本の銀行、保険会社、資産運用会社にとってさらなるビジネスチャンスを生み出すはずです。
第二に、パリはトークン化金融に関する取り組みを加速させています。パリ・ユーロプラスは、2026年3月にデジタル金融に関する戦略を発表し、6月にはトークン化に関するさらなる提案を発表しました。
第三に、サステナブルファイナンスはより実践的な段階に入りつつあり、トランジションへの資金提供、気候変動への適応、そして実体経済における測定可能な成果にますます重点が置かれるようになっています。

中曽(会長)
東京の金融エコシステムを強化するため、FinCity.Tokyoの主要な取り組みの一つとして、新興運用業者促進プログラム(EMP)を実施しています。EMPは、トラックレコードは短いものの将来有望な、高いパフォーマンスを発揮する独立系資産運用業者を発掘・紹介し、機関投資家と直接結びつけることを目的としています。このプログラムはもともとパリの「EMERGENCE」イニシアチブに着想を得たものです。当機構はここ数年、日本の新興運用業者による活気あるネットワークを構築し、資産運用業界のダイナミズムを活発化させてきました。
補完的な取り組みとして、金融系外国企業誘致事業、通称「Attraction U」を展開し、東京への進出を目指すグローバル資産運用会社に対し、個別のニーズに即したサポートを提供しています。

今年11月、FinCity.Tokyo が初めてParis Infraweekに参加します。これについてどのような期待をお持ちですか?

ソニオ・ぺス氏
FinCity.TokyoのParis Infraweekへの初参加を心より歓迎いたします。2026年11月2日から6日に開催される第10回Paris Infraweekは、エネルギー、デジタル、セキュリティインフラに焦点を当てます。これらは競争力、レジリエンス、そして国家主権が交錯する極めて重要な分野であり、日本の専門知識が非常に価値を発揮する場となるでしょう。
目標は、単なる認知度向上にとどまるべきではありません。東京の参加は、日本の機関投資家、銀行、商社、公的金融機関と、欧州のプロジェクトスポンサー、インフラファンド、貸付機関、公的機関を結びつけるものでなければならないと思います。成功は、投資可能なプロジェクトパイプライン、共同投資機会、リスク配分、移行基準、レジリエンスに関する共通のアプローチといった具体的なフォローアップによって評価されるべきです。Paris Infraweekは、FinCity.Tokyoのパリにおける活動の要となり得るとともに、パリに拠点を置く機関の東京での参画強化にもつながるであろうと思います。

中曽(会長)
今回初めてのParis Infraweek参加は、FinCity.Tokyoがパリに確固たる足掛かりを築く上で非常に重要な一歩となります。London Climate Action Weekにおける東京の存在感確立など、主要な国際イベントでの成功事例を基盤に、Paris Infraweekを日本と欧州の金融機関間の架け橋、そして触媒として積極的に活用していく所存です。
インフラは、従来の実物資産クラスから、経済のレジリエンスと国家競争力を左右する戦略的な原動力へと急速に姿を変えつつあります。日本では、老朽化し​​たインフラを、強靭かつ環境に配慮した、スマートなソリューションに更新していくことが喫緊の課題となっています。欧州では、インフラは気候変動対策、エネルギー主権、デジタルセキュリティの交点に位置づけられています。
こうした理由から、東京は今、欧州におけるインフラ金融の積極的な共同創造者となる絶好の機会を得ていると言えます。日本の機関投資家、銀行、商社と欧州のプロジェクトスポンサーを結びつけ、具体的なパートナーシップを育成していくことが求められます。

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