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インタビュー:FINOLAB

16 JULY 2025インタビュー

東京の急成長するフィンテック・エコシステム

日本における金融のデジタル化の進展を背景に、東京のフィンテック・エコシステムは急成長しています。2019年よりフィンテック・コミュニティのFINOLABを率いる柴田誠氏が、日本国内外の起業家をどのような機会が待ち受けるのかを語ります。

FINOLABについて教えてください。

FINOLABは、東京のフィンテック・エコシステムを強化することを目的とした、コミュニティであるとともにオフィススペースです。国内外のスタートアップ、事業会社、地方自治体、規制当局等のステークホルダーをつなぎ、協働やアイデアの共有、オープンイノベーションを促進しています。現在57社のスタートアップと、主要銀行・保険会社・クレジットカード会社・IT企業・携帯キャリアなどを含む30社の法人会員が在籍しています。金融庁もその一員です。

私はチーフ・コミュニティ・オフィサーとして、コミュニティの運営や、会員がどのようにイノベーションを促進できるかについて助言を行っています。また、業界メディアへの寄稿や、日本のフィンテックの最新動向を伝える動画の制作も担当しています。

外国のフィンテック企業も参加していますか?

日本国外からの企業が17社在籍しています。彼らは母国市場ですでに一定の成功を収めている場合が多く、商品やサービスがある程度完成しており、実際にユーザーに提供した経験もありあます。このため、FINOLABは日本の法規制やビジネス慣習の理解をサポートすることが多くなっています。

コミュニティとしてのアプローチは、会員のイノベーションにどう役立っていますか?

お互いから学び合えることは大きな利点です。国内外のスタートアップが協業することも多く、企業会員が提供するリソースからも恩恵を受けられます。
スタートアップが金融機関からの支援が必要な時などは、FINOLABが積極的に会員同士を引き合わせることもあります。しかし多くの場合、カジュアルな出会いが自然と会話につながり、プロジェクトに発展しています。

海外フィンテック企業にとって、東京にはどのような機会がありますか?

日本は大規模な金融市場を有しており、多くの金融機関がデジタル変革を進めています。金融機関の効率向上や新たな価値提供につながるソリューションを持つ企業には、大きなチャンスがあります。
これまで日本の金融機関は大手ITベンダーとの取引が主流でしたが、今は外部のスタートアップや外国企業との協業にかなり前向きです。
決済や融資、投資といった新しいサービス分野はもちろんですが、伝統的な金融機関にも、UIやユーザビリティ改善、特にモバイルアプリの使い勝手向上などのニーズがあります。日本の銀行は正確さを重視する傾向があり、必ずしも使い勝手のよいサービスが提供されてきませんでした。ここに、新しいアプローチの余地があります。

現在の東京エコシステムの盛り上がりの背景には、何があるのでしょうか?

背景には、主に三つの国家的な課題があります。

一つ目はキャッシュレス決済の推進です。キャッシュレス決済の比率が向上している一方で、コンビニへ行けば、何十もの電子決済手段があり、消費者にとっては煩雑な状況になっています。今後、統合が進み、新たな決済手段が登場するでしょう。

二つ目は高齢化社会への対応です。高齢者が日本の金融資産の大部分を保有していることもあり、日本社会の大きな課題となっています。高齢者層への最適なサービス提供と、次世代への資産移転を、同時に考える必要があります。特に親世代が亡くなると、資産が地方から都市部へ移り、地域金融機関にとっては深刻な課題となっています。ここには新しいアイデアが生まれる余地が大いにあります。

三つ目は、貯蓄から投資へのシフトです。昨年非課税枠が拡大された新NISA(少額投資非課税制度)によって投資がしやすくなりましたが、資産配分に関する知識はまだ不足しています。日本全体の金融リテラシー向上が鍵です。いくつかのスタートアップは、よりよい資産判断を行うためのアドバイスや資産の可視化ツールを提供するようになっています。

東京を目指すフィンテック起業家へのメッセージをお願いします。

10年前と比べて、東京のフィンテック環境は成熟しました。当時は「フィンテック」が一種のはやり言葉で、スタートアップと金融機関の取り組みも試験的なものにとどまっていました。しかし今は、実際の協業や、大手金融機関によるスタートアップへの戦略的投資が増えています。大手に限らず、地方でもDXのニーズが高く、良いアイデアや実用的な技術が求められるようになっています。

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