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インタビュー: 株式会社三菱UFJ銀行 取締役常務執行役員 上野義明氏

19 NOVEMBER 2025インタビュー

FinCity.Tokyo理事の紹介インタビュー:
株式会社三菱UFJ銀行 取締役常務執行役員 上野義明氏

株式会社三菱UFJ銀行取締役常務執行役員 兼 一般社団法人全国銀行協会企画委員長の上野義明氏に、日本の銀行システムの強化と持続可能な金融の促進における全銀協の役割について聞きました。

日本経済における全銀協の役割について教えてください。

全国銀行協会は、銀行の健全な発展を通じて日本経済の成長と国民生活の繁栄に貢献することを目的とした、銀行業界の代表団体です。国内の銀行や銀行持株会社、各地の銀行協会などが加盟しています。
全銀協の活動は、多岐に亘りますが、お客さまへの資金供給や預金・資産運用など、銀行が社会的に果たすべき役割の円滑化や関連する政策提言・意見発信のほか、金融犯罪への対応や消費者保護に関する取り組み、経済活動に不可欠な決済システムの企画・運営、コンプライアンスの推進やお客さま相談窓口の運営などの活動を行っています。

全銀協の企画委員長として、上野様が現在推進している活動はありますか?(今年のテーマは?)

全銀協では、今年度を「日本の成長加速と社会課題解決に貢献し、活力あふれる未来への礎を築く1年」と位置づけ、活動を進めています。そのうえで、以下の3点を柱に活動しています。
第1の柱は、「インベストメントチェーンの活性化を通じた『成長と分配の好循環』の加速」です。人口減が予想される日本が持続的に成長していくには、大胆な投資と生産性向上が欠かせません。成長投資を促進し、銀行による間接金融、資産運用業、資本市場を介した直接金融などで資金需要を支えていくことが重要です。
今年度、「中長期的な金融仲介の在り方検討ワーキンググループ」を立ち上げ、有識者や関係当局、他の金融仲介プレーヤーと議論を重ねています。10月にはJapan Weeksにおいて、全銀協として海外からの投資マネーの呼び込みをテーマとしたイベントを開催しま
した。また、事業評価力を活かした新しい事業性融資である企業価値担保権に関し、全銀協として「企業価値担保権の活用に向けたポイント」を作成し、会員行向けに展開しました。家計による投資の促進に関しては、新NISAやiDeCoなどの制度に関する要望活用や、J-FLECと連携した金融経済教育、顧客本位の業務運営の徹底に取り組んでいます。
第2の柱は、「安心・安全で利便性の高い、時代に即した金融インフラの実現」です。決済などの金融インフラは社会、経済を支える基盤であり、安全性と利便性の向上を両輪で追求していきます。手形・小切手の電子化の総仕上げを進め、社会全体でのコストやリスクの削減と生産性向上を図ります。また、全銀システムの安定稼動を維持しつつ、本年11月に稼働を開始したAPIゲートウェイの対応や第8次全銀システムの開発も進めています。
また、今年度、全銀ネット傘下に「資金決済システムの将来像に関するスタディグループ」を設置し、利用者ニーズや国内外の決済システム高度化に向けた取組み状況等を踏まえつつ、長期的な視点で、わが国資金決済システムのあるべき姿や将来像を議論しています。
第3の柱は、「健全かつ強靭な責任ある金融システムの維持・高度化」です。犯罪の種類や手口が多様化、巧妙化する中で、特殊詐欺等の犯罪の抑止に対する社会的要請が高まっています。マネロン対策では、マネー・ローンダリング対策共同機構を設立し、AIスコアリングサービスを開始しているほか、足元では、金融機関同士による不正利用口座の情報共有システムの構築に向けた検討も進めています。このほかにも、関係当局や他の民間金融団体と連携した金融犯罪抑止に向けた啓発活動なども通じて、お客さまが安心・安全に金融取引を行っていただけるように、官民一体となった対策を継続しています。
このように多岐に亘るテーマに取り組んでいますが、日本経済の自律的・持続的な成長の実現や安心・安全な金融サービスの提供、金融システムの維持に力を尽くしています。  

金融機関におけるサステナビリティの取り組みの重要性をどのように考えていますか。

金融機関がサステナビリティに取り組む意義は、単なる社会的責任の履行にとどまらず、持続可能な経済成長や社会の安定に直結するものです。気候変動の進行により、異常気象や自然災害が頻発し、企業活動や人々の生活に深刻な影響を及ぼしています。こうした環境下で、金融機関は資金の流れを通じて、脱炭素社会や循環型経済、自然資本・生物多様性の保全といった社会課題の解決に大きな役割を果たすことが期待されています。
具体的には、再生可能エネルギーや省エネルギー分野への投融資、トランジション・ファイナンスの推進、サステナブル・ファイナンスの拡大などを通じて、実体経済の脱炭素化や社会課題解決を後押しすることが重要です。また、気候変動への対応は温室効果ガス排出量の削減だけでなく、自然資本や生物多様性の保全、人権尊重、公正な移行(Just Transition)など、多様な社会的要請に応えることが求められます。
金融機関がサステナビリティに取り組むことで、社会や企業の課題解決に貢献しつつ、自らの経済的価値や企業価値の向上にもつながります。たとえば、インパクト指標やKPIを設定し、定量的な目標管理や進捗の可視化を行うことで、ステークホルダーとの対話を深め、透明性や信頼性を高めることができます。従来から取り組んできたサステナビリティにインパクトの視点を加え、社会課題解決型のビジネスやイノベーションの創出、スタートアップや新規事業への支援、官民連携によるブレンデッド・ファイナンスなど、多様なアプローチを通じて金融機関は社会的インパ
クトの創出と自らの企業価値向上の両立をめざすことが重要と考えています。 

Tokyo Sustainable Finance Weekで 閉会の挨拶をいただきましたが、サステナブル/グリーン・ファイナンスにおける東京の役割は何ですか?

サステナブル/グリーン・ファイナンスにおいて、東京はアジアを代表する国際金融都市として、気候変動対策と経済成長を両立させるための重要な役割を担っています。東京都は、「国際金融都市・東京」構想の中でサステナブル・ファイナンスの推進を柱の一つに据え、市場インフラの整備、資金調達の促進、企業や専門家への支援など、多岐にわたる施策を積極的に展開しています。
まず、市場の基盤整備と情報発信の面で重要な役割を担っています。その一環として、東京サステナブル・ファイナンス・ウィークやフォーラムを開催し、国内外の専門家や関係者が集う場を設けることで、最新動向の共有や市場の発展に向けた議論を促進しています。また、東京証券取引所と連携し、グリーンボンドなどのサステナブルな資金調達手段に関する情報基盤を構築することで、投資家が安心して投資できる環境を整備しています。
次に、グリーンプロジェクトへの資金調達を促進する役割も果たしています。東京都自身が地方自治体として初めてグリーンボンドを発行し、その調達資金を環境保全や気候変動対策事業に充てることで、他の自治体や民間企業に対するモデルケースを示しています。さらに、国内外のグリーンファンドを誘致し、東京がサステナブルな金融ハブとなることを目指しています。
さらに、東京は人材育成や先端技術の導入を通じて、市場全体の活性化を図っています。例えば、グリーン・ファイナンスに取り組む海外の資産運用会社やフィンテック企業に対して、東京への進出を支援する助成金制度を設けています。加えて、カーボンクレジット取引にブロックチェーン技術を統合するなどの先進的な取り組みも進め、デジタルの力を活用したイノベーションを推進しています。これらの施策を通じて、東京はサステナブル/グリーン・ファイナンスのハブとして、気候変動対策と経済成長を両立させるための資金の流れを創出し、国内外の企業や投資家を巻き込むことで、世界的なサステナビリティの潮流を牽引する役割を果たしていると言えます。

TSFWで「カーボンニュートラルの実現に向けた全銀協イニシアティブ2025」についても触れられましたが、こちらについてもお聞かせください。 

全銀協では、2021年に「カーボンニュートラルの実現に向けた全銀協イニシアティブ」を策定して以降、会員各行の活動状況や国内外における議論の進展等を踏まえ、このイニシアティブを年次でアップデートし、会員行の知見向上のための情報提供や、政府会議体における意見発信を実施しております。
基本方針として、金融・社会インフラとしての役割発揮、産業界との連携、政府・関係省庁への提言、国際的な議論への参画の4つを掲げています。
重点取組分野としては、エンゲージメントの充実・円滑化、サステナブル・ファイナンスの裾野拡大、開示の充実、気候変動リスクへの対応、ネイチャーポジティブ・サーキュラーエコノミーとの統合的な取組みの5つが挙げられています。具体的なアクションプランとして、関係省庁や有識者を招いたセミナーの開催、情報プラットフォームの運用、関係経済団体との連携、政策提言の発信、国際的なルール形成への参画などが含まれています。
特に、エンゲージメントの充実・円滑化に関しては、GHG排出量の把握・測定に向けた会員行の取組支援や、業界別の対応・行動計画に関するセミナーの開催が重要視されています。また、サステナブル・ファイナンスの推進に向けては、トランジション・ファイナンスの信頼性・実効性の担保に向けた議論への参画や、中小企業団体との連携が求められています。
開示の充実に向けては、Scope 3の計測手法に関する課題や、企業側の開示充実と銀行の開示充実の関係性が指摘されています。気候変動リスクへの対応では、シナリオ分析のデータや手法整備に向けた議論への参画が必要とされています。ネイチャーポジティブ・サーキュラーエコノミーとの統合的な取組みでは、TNFD開示提言やグローバル循環プロトコルの開発に向けた議論への積極的な参画が求められています。
全銀協は、これらの取組を通じて、わが国のカーボンニュートラル/ネットゼロの実現に向けて多様なステークホルダーと連携・協調し、貢献していくことを目指しています。 

最後に、理事としてFinCity.Tokyoにどのような期待をお持ちですか?

東京は、国内外で活躍する多くの日本企業が所在しており、大きな家計金融資産を有する日本の中心地、本邦の様々な金融機関や金融事業者の集積地でもあります。
今後、東京がより一層グローバルにプレゼンスを高めていく際に鍵となるのは、サステナビリティとテクノロジーだと思います。サステナビリティに関しては、東京がアジアを代表するサステナブル・ファイナンスのハブとしての役割を果たせるよう、銀行界としても顧客とのエンゲージメント活動や、グリーンボンド、サステナブル・ローン等の金融商品の提供を通じて、社会へのインパクトに拘り、貢献を続けていきます。
テクノロジーについても、民間銀行としてブロックチェーン技術やAIをはじめとする最新の技術を活用して付加価値の高い商品、利便性の高い金融サービスの提供を進めていますが、東京においても、新たな技術を積極的に取り込みプロモーションすることで、協働して東京市場の魅力を高めていけたらと考えています。
FinCity.Tokyoには、国際金融都市としての東京の魅力や特色を、海外の金融機関や資産運用業者などに対して、これまで以上に積極的に発信するとともに、国際的な競争環境も踏まえ、環境整備に必要な意見発信も期待しています。銀行界としても、FinCity.Tokyoをはじめ様々なステークホルダーとともに持続可能な未来の構築に貢献してまいります。

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