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インタビュー: 日本証券業協会政策本部共同本部長(企画担当)森本 健一氏

29 JANUARY 2026インタビュー

FinCity.Tokyo理事の紹介インタビュー:日本証券業協会 常務執行役 政策本部共同本部長(企画担当) 森本 健一氏

日本証券業協会の常務執行役 政策本部共同本部長(企画担当)である森本 健一氏に、サステナブル・ファイナンスやインパクト・ファイナンス、政府の資産運用立国実現に向けた動きなどについて聞きました。

日本証券業協会はどのような組織か教えてください

本協会は1973年7月に、それまで全国各地区に置かれていた証券業協会とその連合会が統合して設立されました。以来、いくつかの変遷を経ながら、設立から50年あまりが経過しました。金融資本市場の公正かつ円滑な運営、金融商品取引業の健全な発展及び投資者の保護を目的としており、金融商品取引法に基づき内閣総理大臣の認可を受けた唯一の団体となっております。

本協会は、こうした目的や位置付けのもと、大別して、自主規制に関する業務と証券業界としての活動、そして国際会議への参加や海外の関係機関との交流等を通じて情報収集や海外向け広報・情報発信等の活動を行っています。本協会に加入している協会員数は、2025年12月末現在、会員(証券会社等の第一種金融商品取引業者)が261社、特別会員(銀行等の登録金融機関)が200機関、特定業務会員(株式投資型クラウドファンディング業務専業会社等)が11社となっています。

さまざまな活動を掲げています

先ほどお話したとおり、本協会は自主規制関係、証券業界関係、国際関係など多岐にわたる業務を行っていますが、全体を簡単にご紹介いたします。
まず、自主規制に関する業務としましては、協会員やその役職員の行為規制や内部管理、金融商品取引に関する自主規制ルールの制定とともにその運用、すなわち遵守状況についての監査やモニタリング、違反に対する制裁や再発防止に向けた取組みなどを行っています。また、スタートアップ育成支援の役割も担う非上場株式関係の制度整備や、上場株式のPTS等の取引所外取引、公社債、証券化商品等の市場整備や統計情報の発表等の業務を行っています。さらには、外務員の登録事務や資格試験の実施、協会員の役職員の法令諸規則遵守の徹底や倫理意識・コンプライアンス意識の向上を目的とした研修や講師派遣を行っています。

次に、証券業界としての活動ですが、まずその基本として、協会員間や関係各団体との円滑な意思疎通や意見調整を行っています。また、証券会社や証券投資の意義・必要性の理解を促進する広報活動とともに、証券業界や本協会の活動を知っていただくための広報活動を行っています。さらに、証券市場や国民の資産形成に関する統計や調査研究を実施してその結果を公表するとともに、それらを活かす等して証券業や証券市場に関する制度や税制等について検討し政府その他関係各方面に意見表明して実現を目指して取り組んでいます。そのほかにも、金融経済教育推進機構(J-FLEC)との連携やその活動の支援など金融経済教育の推進、証券業界におけるサステナビリティやサステナブル・ファイナンスの推進の活動を行っています。

最後に、これらの取組み全般と関係するのが国際関係の業務、グローバルな情報発信と連携の拡充に向けた取り組みです。国際的な会議への参加や本協会による運営、海外の証券関係団体等との情報交換、海外向け広報や情報発信などを行っています。

協会として今、力を入れている取組みを教えて下さい

少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充や金融経済教育の推進をはじめとする政府の資産運用立国実現に向けた施策もあり、「貯蓄から投資へ」の流れがようやく現実のものとなりつつあります。このことは、日本銀行の資金循環統計において、家計の金融資産に占める現預金の比率が約18年ぶりに50%を割り込み、代わって株式や投資信託の比率が上昇しているところにも表れていると思います。この流れをさらに力強く推し進めていくことが、目下のもっとも重要な役割であると認識しています。そして、資産形成から企業の成長、日本経済の活性化へとつながる流れの実現を目指し、「貯蓄から投資、その先へ」のスローガンのもと、特に次のことに取り組んでいます。

まず、国民の皆様の安定的な資産形成の観点で、NISAや確定拠出年金制度(企業型DC、iDeCo)のさらなる利便性向上に向けた税制上の拡充を関係各方面に働きかけたり、特にこれからは職域や地方における金融経済教育の浸透が一層の課題であるJ-FLECの活動をバックアップしたりしています。また、お客様に安心して証券サービスを利用していただけるよう、インターネット取引における不正アクセス防止の取組みを進めています。これに加えて、高齢のお客様による資産管理・活用に向けて、「家族サポート証券口座」の普及促進にも取り組んでいます。

次に、資本市場の更なる機能発揮の観点では、スタートアップ企業への成長資金供給促進のための環境整備として、政府のJapan Weeksコアウィーク(2025年10月)に「スタートアップ フォーラム」を開催したり、非上場株式の取引制度の課題等に関する検討を行うための懇談会を金融庁と共同で開催したりしています。また、エクイティの面だけでなく、社債市場の活性化に向けた環境整備の取組みも行っています。

さらに、こうした資金循環を支える証券業界のレベルアップに向けて、証券会社の役職員の職業倫理意識や専門性の向上を支援するための研修プログラムの充実や受講促進、サイバーセキュリティ対策向上、証券業におけるミドル・バックオフィス業務の効率化に向けて集約化促進、AIの活用促進などの取組みを進めています。

証券業界におけるサステナビリティについての考え方と具体的な取組みについて教えてください

証券業界におけるサステナビリティやサステナブル・ファイナンスの推進に向けた取組みは、資本市場を通じた持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値の向上を両立させるうえで、重要な意義を持っていると考えています。気候変動や自然資本・生物多様性の損失といった環境的課題、包摂性等といった社会的課題は、企業活動や投資環境に直接的な影響を及ぼし得るもので、これらのリスクと機会を適切に評価すると同時に、それら課題解決の貢献に向けた資金の流れを推進する役割が求められています。証券会社は、株式や債券等の引受や販売、資産運用、投資助言などを通じて、サステナブル・ファイナンス、インパクト・ファイナンスを支える存在です。グリーンボンド・ソーシャルボンド等の発行支援や、ESG投資・インパクト投資の発展は、脱炭素化や社会課題解決型ビジネスの拡大につながります。

本協会では、我が国のトランジション・ファイナンス等の海外市場への発信、海外市場等の最新動向を関係者へ還元といった文脈での取組みを続けており、この取組みの一つとして、昨年(2025年)11月、国際資本市場協会(ICMA)との共催で、サステナブル・ファイナンスの分野におけるICMAの各種原則や関連する市場動向等について議論する「ICMA原則年次カンファレンス(Annual Conference of the Principles)」を、東京では初めて開催しました。同カンファレンスにあわせ、ICMAでは新たに「クライメート・トランジションボンド・ガイドライン」を公表し、トランジションボンド専用ラベルの国際的な指針が示されました。日本では、2024年より世界初のGX経済移行債の発行が始まっており、こうした取組みが国際資本市場において評価された面もあります。

また、証券業界では、証券会社や資本市場ならではの貢献のあり方として、「こどもサポート証券ネット」や「株主優待SDGs基金」、「古本募金」などを通じた社会貢献活動にも取り組んでいます。併せて、働き方改革やダイバーシティ推進にも注力し、働きやすく持続可能な業界基盤の整備を進めています。

こうした取組みを通じて、サステナビリティを資本市場に根付かせ、我が国の資本市場の持続的成長と国際的信認の向上に貢献していきたいと考えています。

 

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